住まい探しは措置入所

心理学

年度末に引っ越しをすることになった。

 不動産屋を回って家を探す。住まいは生活の重要な基盤だ。どうしても色々と条件をつけて探したくなる。お風呂とトイレは別がいいし、1階は防犯上避けたい。リビングはソファーがおけるくらいの広さで、キッチンは二口のガスコンロ。家賃は安い方がいいが、駅からあまり遠くなるのは不便だ。

 だが、条件の良い物件は当然家賃が高い。限られた予算で探すには、必ずどこか妥協しなければならない。頭ではわかっているが、なかなか妥協することは難しい。それだけ住環境は生活に密着しているのだから無理はない。結果的にズルズルと家探しが長引いていく。そんな日常である。

 私たちが児童福祉の領域で日々出会う子ども達は、住環境を選べない。様々な理由があって家庭での生活が困難になり、一時保護所での生活を余儀なくされる。一時保護が長期化するようであれば、児童養護施設や里親の下で暮らすことになる。

 その際、子ども達は養護施設を選ぶことはできない。どんな場所で、どんな人たちと暮らすのか、条件をつけることもできない。ただ、大人から指定された場所で暮らすしかないのである。想像するだけで苦しい。

 子ども達はしなやかで柔軟である。どんな環境であっても懸命に適応しようとする。多くの子ども達は、しばらくすると施設での生活に慣れる。施設の不満を漏らすこともなく、日々を送る子もいる。

 そうした子ども達のことを考えると、敬意が湧くし、頭が下がる思いだ。子ども達はお風呂とトイレが一緒だろうが、独立洗面台がなかろうが、必死に新しい環境に適応しようとしている。私だってガスコンロが一口か二口か、そんなことに拘っている場合ではない。

 子ども達から学ぶことばかりである。学んでばかりでなく、支援に活かせるように努めたい。どんな物件であってもしなやかに生活を営んでいきたい。

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