就寝刑

日常

 眠い。

 私は睡眠が好きだ。寝てる時間が一番幸せといっても良い。一日一回は必ず寝るほどである。平日でも仕事終わりにどうにか時間を捻出して必ず寝るし、休みの日はクタクタで何もやる気にならないが、睡眠だけは欠かさず摂ってしまう。それほど睡眠が好きだ。

 睡眠の欲求は強い。起床時の人類は睡眠欲に脳を支配される。我を忘れるほどに眠い。実際に、目覚ましアラームの鳴り響く朝には様々な人格が登場する。

 就寝前、アラームをセットする。6時30分に起きるのであれば、6時10分、20分、30分の3回。この段階で既に翌朝の自分を全く信用していない。暖かい布団が恋しい季節、一度で起きられるわけがない。

 6時10分、アラームが鳴る。眠い。前日の自分を、調子に乗って夜更かしをした自分を引っぱたきたくなるくらい眠い。だがまだ時間に余裕がある。3回に分けてアラームをかけた昨夜の策士に、敬意を払いながら2度寝につく。

 6時20分、アラームが鳴る。眠い。まだ時間に余裕がある。余裕があるならば、なぜ30分まで寝かせてくれないのか。3回に分けてアラームをかけた愚者に、はらわたが煮えくりかえる。眠すぎる。2度寝に就く

 6時30分、アラームが鳴る。眠い。不味い。崖っぷちだ。もうアラームはない。だが、5分だけ。あと5分だけ。脳を支配している睡眠欲が暴れ出す。この段階での2度寝は夢の世界への片道切符だ。首を切らねば帰ってこられぬ。

 だが眠い。気を抜いたら意識が飛びそうになる。体の自由が効かない。電源の切れた自動ドアを小指で開けるような思いで何とか理性を保ち、6時35分にアラームをかける。睡眠欲に支配されそうになる。理性のあるうちに殺してくれ、と懇願したくなるような眠気。5分後の自分に全てを託す。

 6時35分。アラームが鳴る。全ての希望は今の自分に託された。そうした思いに支えられ、部屋の電気をつけ、カーテンを開ける。勝った。ついに睡眠欲からのマインドコントロールから解放されたのだ。

 起床して10分も経てば、もう安心だ。眠気はあるが、あの圧倒的な、人格を奪われるような睡魔はない。そして死んだ魚の目をして出勤する。日々これの繰り返しである。

 人格というものは、人が思っているよりも不安定なものだ。同じ人でもその時の状況によって随分変わる。妙に怒りっぽくなったり、異常に涙脆くなったり、いつもの自分らしくないと思う時、人は大体疲れている。まずグッスリ眠る。睡眠不足は精神が安定しなくなるリスクがある。睡眠欲に身を委ねると幸せになる。

 そうは言っても眠れない夜もある。辛い時ほど眠れない。そんなことが続く場合は一人で抱え込まず、専門家に相談してみると良いと思う。

 

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