塵も積もれば掃除だるい

日常

部屋の中にクモがいた。

 一人暮らしの部屋に、動く影があった。クモだ。足がちゃんと8本あるか、パッと見では数えられないくらいのサイズ感なので、大したことはない。ティッシュで包んで窓から逃す。

 一人暮らしの部屋に動くものがあるというのは、不思議な感覚だ。自分の部屋のものは基本的には勝手に動かない。出勤前に出しっぱなしだった使用済みマグカップは、帰宅後も全く変わらぬ場所で私を待っている。ベッドの上で無くした充電器はベッドの上で見つかる。全て私の統治下である。と思い込んでいる。

 全てがコントロールできる。そう思い込んでいるが実際にはそうでもない。迷い込んでくる虫は勝手に動く。空気中に舞った埃は、棚やテレビに積もり、放っておくと埃まみれになっている。私のコントロールできないところでも色々なことが動いている。少し不思議な感覚だ。

 私の体もそうだ。私が思うようにコントロールできるのはせいぜい筋肉くらいだ。内臓も血液も神経伝達物質も、コントロールできない。自動運転である。心の中もそうだ。自分の理解している部分やコントロールできる部分はほんの僅かで、意識にも登ってこないような物が大きく蠢いている。

 コントロールできないものは不安だが、できないものはしょうがない。埃が溜まれば掃除をしたら良いし、クモが出たら外に出せば良い。コントロールできるものを活かして、いかにコントロールできないものと付き合っていくか、ということが大切である。

 私は虫が苦手なので、後になって心臓がドキドキしている。これはコントロールできない。

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