コレクターズハイ

引っ越しの片付けをしている。

　毎日引越しの話ばかりで恐縮に思っている。引越しというのはとてもエネルギーを使うことなので、日々引越しの事ばかり考えている。脳内メーカーで見たら8割は「引越し」で埋め尽くされているに違いない。残りの1割は「世界平和」で、もう1割は「偽善」である。

　片付けをしていると捨てがたい物ばかりだ。特に捨てがたいのは種々のコレクションである。令和時代のジェンダー感とはかけ離れたことを承知で述べるが、男というのは古来からコレクターである。ポケモン、デジモン、遊戯王カード、ムシキングにベイブレード。いつの時代も男の子はコレクションに夢中になる。

　私の場合はスターバックスのご当地マグカップだ。あまり知られていないかもしれないが、スタバはご当地限定モデルのマグカップを販売している。海外旅行にいくたびに、現地のマグカップを買い集めているのである。とてもスペースをとるが、コレクションしてしまう。

　コレクションは宗教に近い。「私はこれを集める」と決めたその日から、人生の方向性が一つ定まる。私の場合は海外旅行のお土産に迷うことはない。スタバのマグカップだ。人生の中に縛りを作ることで、悩みや迷いが消える。

　現代社会での生き方はあまりに自由だ。ある程度の方向性が決まっていた方が悩まなくて良い。その最たるものが宗教の信仰なんだろうと思う。コレクションもその仲間だ。単なる趣味ではなく、生き方そのものなのである。

　コレクションを捨てられそうになったら、このような言い訳で攻めようと思う。コレクションの重要なポイントは集めることではなく守ることなのだから。

　私のビーダマンコレクションは泣く泣く処分した。