やわらかクッション、クエスチョン

心理学

「②どうして当店を選びましたか?(複数選択できます)」

 初めて訪れた整体院の問診票に書かれた質問だ。台湾出身の店長のようで、少し日本語がおぼつかない。「どうして」と聞かれると、『何か不味かっただろうか』と考えてしまうのは日本人独特の思考なのだろうか。責められているような気になってくる。

 子どもと関わる上で、子どもの話をキチンと聞くことは大切だ。というと、たくさん質問をして話を引き出そうとする人がいる。それ自体は間違っていないが、質問の仕方を間違えると大変なことになってしまう。

 「どうして?」「なぜ?」「なんで?」「Why」。質問には意図せず否定的なニュアンスが宿ってしまうことがある。「どうして?」と聞いてくる相手は、自分の意見とは違う意見を主張している人だ。「理解できない」という意味を孕む。「なぜやらなかったの?」には「こうすべきだ!」というメッセージが込められている。『質問責め』という言葉があるように、質問は責める時にも用いられているのである。勿論全ての質問が否定的なニュアンスを含むわけではない。ケースバイケースである。

 子どもたちが大人に質問される時には、何か間違ってしまった時で、責められている事が圧倒的に多い。「どうしてできないの?」「なんで早く言わないの?」「なぜわからないの?」。こうした言葉を日常的に受けている子どもが多い。そのため、純粋に理由を聞こうと思っても、「どうして」「なんで」という言葉を使ってしまうと、子ども達は責められていると思ってしまうのである。

 私は質問をする時には「Why」ではなく「How」を心がけている。「なぜ?」「どうして?」と理由を聞くのではなく、「どのようにして」「どんなことがあって」というプロセスを聞くのである。

  例えば、「どうしてそう思ったの?」は「どんなところからそう思ったの?」、「何故ここに来ようと思ったの?」は「どんなことがあってここに来ようと思ったの?」と言い換えて、プロセスを聞いてあげる。細かい違いだが、聞かれる子どもの負担は少し和らぐ。

 とはいえ負担をかけていることには変わりない。子どもと話すときは可能な限り質問は減らしたい。そのためには、適切な相槌だったり、相手の気持ちを言葉にして返したり、相手の話を要約したり、様々な技法を用いて話を促すことも大切になる。

 整体院さんも「②当店のどんなところから来店しようと思われたのですか(複数選択可)」と聞いてくれてくれればよかった。いや、これはこれで回りくどい。

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