転居de隠居

引っ越しをした。

　引っ越しをテーマに何回ブログを書くのだろうか。だが今日が本番だったのだ、書かないわけにはいかない。

　引っ越しは破壊と創造だ。新生活を創造するには、現在の生活を破壊しなければならない。

　破壊はあっという間だ。引っ越し業者が来る。テキパキと働くお兄さんの傍らで、私は何となく手持ち無沙汰になって、床に落ちたゴミなんかを拾っている。気がつくとソファーが、冷蔵庫が、テレビが、私の生活が、どんどん外に運び出されていく。

　生活を形作っていたものは、いとも容易く分解され、運ばれていく。安定した生活を過ごしていると思っていたが、プロの手にかかればこんなものである。

　自然災害で家を失う人もいる。生活に『安定』なんてことはない。いつ何が起こるかわからない。だが、そのことばかり考えていたのでは生活は回らない。ある程度の不安を感じつつ、他のことに没頭することによってその恐怖から目を逸らして生きていくしかない。

　やいのやいの言っているが、新生活はとても快適である。前の生活ではなかったこともたくさんある。前の生活は素敵だったものとして大切に押し入れにしまい、新しい生活を丁寧に味わっていきたい。