ユンゲラーと母性剥奪

日常

ユンゲラーが言うことを聞かない。

 ポケットモンスター(ちぢめてポケモン)を買った。年末年始なんて実家に帰ってダラダラとするだけなのだから、今年は何か生産的なことをしようと思い、ポケモンのダイヤモンドパール(3作目?)のリメイクを買ってみた。楽しい。

 だが、ユンゲラーが言うことを聞かない。悲しい。

 ユンゲラーというポケモンがいる。おそらく超能力者のユリ・ゲラーがモデルになった、エスパータイプのポケモンである。スプーンを右手に持ち、ゆらゆらとしている。なぜずっとスプーンを握っているのだろうか。戦闘中も持っているのでお行儀は悪い。まぁでもポケットがないから仕方がないか。手に持つしかない。

 実は私の持っているユンゲラーは、他のポケモントレーナーとの交換でゲットしたポケモンだ。自分で捕まえたポケモンと異なり、交換で手に入れたポケモンは一定のレベルを超えるとプレイヤーのいうことを聞かない。

 これは、ゲーム上の仕様である。交換でいきなり強いポケモンをゲットできてしまったら、ゲームバランスが崩れてしまう。その対策として、ストーリーの進め具合によって、交換でゲットしたレベルの高すぎるモンスターは、プレイヤーの言うことを聞かないのだ。

 悲しい。ゲームの仕様は理解しているが、ユンゲラーの気持ちになると悲しい。ユンゲラーはそもそもポケモン交換に納得していたのだろうか。前のご主人のもとを離れたくなかったのではないだろうか。ユンゲラーの意思を聞かずに交換してしまったことを申し訳なく思う。

 もしユンゲラーが納得しないまま私のところに来ていたとしたら、それは反抗したくもなるだろう。仕方のないことだ。だが、戦闘中に私の言うことを無視したユンゲラーは、そのターン行動することができず、相手のポケモンから一方的に攻撃されてしまう。痛い。苦しい。

 ユンゲラーが私の言うことを無視する。そのことで一番傷ついているのはユンゲラー自身である。自身の処遇に納得がいかないまま児童養護施設に措置されていった子どもたちの顔が脳裏に浮かぶ。反抗したくもなる。だが、反抗することで傷つくのも彼らだ。悲しい。

 私のユンゲラーのもとのご主人様はNPC、コンピューターのキャラクターだ。なので、もとの所に返す方法はない。そもそも一度引き受けると決めたのだ、きちんと私が抱えたいと思う。

 ユンゲラーの気持ちを受け止めつつ、こちらの思いも伝え、少しずつ信頼関係を構築していきたい。彼がスプーンを手に持って離さないのは、ポケットがないからではない。大きな環境の変化による不安を和らげるため、幼少期から愛用しているスプーンを握ることで安心感を得ているのだ。切ない。

 新年早々私は何を書いているのだろうか。本年もよろしくお願いします。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました